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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
ヒメが自分をこんな風に言うのは初めてだ。
……心の声を、言葉にしてくれている。
何かが込み上げてきて、私は声を出す事ができない。
「……ずっと俺の中で蟠りが取れなくて
だから蓮の結婚についても、すぐお前に言えなかった」
「………!」
「どこかで勝手に比べてる自分がいて……情けねぇよな」
「………っ」
「美和だけ蚊帳の外にしちまって、悪かった」
そう呟いたヒメが、切なそうに笑ったから
私はその揺れる瞳を見つめたまま、大きく首を横に振った。
……謝るなんて、そんなこと絶対に無いのに……
「……ヒメ、私…」
「だけど」
私の言葉を遮って
自分の手で作った拳を、ぎゅっと握ると
「先週、蓮の彼女と話をして
……今日の皆のメッセージで……改めて気付いた」
背筋を伸ばして、ヒメが真っ直ぐ私を見つめた。
「美和が、いる」
「………!!」
「俺には美和がいる」