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第10章 愛してる

「……悪い」

「………！」

「お前に伝えたことに、嘘偽りはねぇけど
……正直言って、今ここでプロポーズするつもりなんて無かった」


その言葉に、ドキンと心臓が跳ねて

……私の肩に突っ伏したまま、絞り出すようにヒメが続ける。


「けど、結婚式で……蓮の幸せそうな顔を見て
二次会で思わぬ不意打ちを食らって」

「………！」

「あいつらの熱過ぎるメッセージを読んだせいで
……なんつーか、溢れちまった」

「………っ」


呼吸が乱れるどころか、息が止まってしまいそう。
胸がいっぱいで苦しいよ。

伏せたままのヒメの耳が真っ赤だ。

心臓が鷲掴みにされて、キュンキュンして、どうしていいか分からない。



「俺の心の中が、お前で溢れてて」

「～～～！！///」

「美和でいっぱいで……マジで、だめだ」



駄目だと言ったヒメに、両手を引き寄せられて

ぎゅっと握りしめられると……




「……ごめん」




ヒメの掠れ声が、耳元で響く。



「完全にフライングだから
指輪も、花束もねぇんだけど……」



「………っ」







「……抱きしめていい？」