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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
「しらけるな」
ギャーギャー叫び合う、絡まったユーリ君とヒカルちゃんの後ろで
ボルドーのペイズリー柄シャツを着た、坊主頭の男の人が溜息を漏らした。
……あれは、前に紹介してもらった……夏輝さん……?
「何お約束みてぇなバレ方してんだよ。
いいとこだったのに」
「「~~てめぇが押したんだろ!!」」
「仕方ないだろ。
見えない・聞こえないって、こいつらが小声でうるせぇから」
……そう言って、夏輝さんが首を回した両側から
合わせた両手を胸の前で組んで、プルプル震えた小さな体。
お揃いのパーティードレスを着た2人の女の子が、だーっと涙を流して前に出てきた。
「………っ」
驚き過ぎて、声の出ない私とヒメ。
しばらくすると
パッと全体照明が付けられて、店内が一気に明るくなった。
……そのスイッチ元である入口付近に、視線を移すと……
「良かったな、ヒメ」
セキュリティカードを手にした、スーツ姿のヤスさんが
もう片方の手で親指を突き上げて、ニッと白い歯を見せた。
「蓮って名前で呼んでほしいって
ここで酔い潰れる度に、お前言ってたもんな」
「「~~~~!!」」
「お祝いしよう。
客に出さない貴重な1本、お前のツケで空けてやるよ」