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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
「~~~何撮ってんだよ馬鹿野郎!!」
口から炎を吹き出す勢いで、ヒメがステージを下りていく。
普段ポーカーフェイスで、感情を表に出さない彼だけど
すれ違う直前に見えた横顔が、湯気が出そうな程真っ赤だった。
「ここで使わず、いつ使うのよ」
ビデオカメラを陽菜ちゃんと千夏ちゃんに渡して、ロフト席から見下ろすヒカルちゃん。
画面を見てキャーキャー言い合う2人とは対照的に、しれっとした顔で続ける。
「途中で “ 俺は弱いよ ” なんて言い出すから、ハラハラしちゃったわ。
美和ちゃんの前ではドン引きするほど素直なのね」
「~~んだと、この…」
「でも良かった、貴重なシーンが撮影できて。
永久保存決定♡」
「ふざけんな!! 撮る必要がどこに…」
「だって、蓮に見せなきゃ」
「……は!?」
「蓮に見せなきゃ」
繰り返されたその言葉に、螺旋階段を上がろうとしたヒメがピタッと止まる。
真っ赤だったその顔が、みるみる青く変わっていって
……どうしてかな。
なんだか、胸が高鳴るようなドキドキが止まらない。