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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
ヒメのスーツから離した手が、少しだけ震えてしまう。
“ 容姿端麗の国際線CAなのに、謙虚で心も美しいんですって ”
……麗子さんはそう言ってたし、蓮くんのお嫁さんだから
素敵な人に間違いは無いって分かるけど……
「……私、ここに居てもいいのかな」
「………」
「お嫁さん、嫌な気持ちにならないかな……」
振り返ったヒメが、無言のまま私を見つめて
階段から足を戻すと、胸の前で腕を組んで正面に立った。
「お前は嫌なの?」
「……えっ?」
「蓮の相手に、会いたくねぇ?」
「……っ そんなこと絶対にないよ!!」
「………!」
「あ、会いたいし……
おめでとうございますって、伝えたい……」
スカートの裾をぎゅっと掴む私の声は、聞き取れないくらい小さな声だったと思うけど……今の言葉に嘘はない。
……蓮くんのお嫁さんが、許してくれるなら……
「── “ 瑠璃 ” 」
「………!」
「お嫁さんの名前」
その柔らかい声で、伏せていた顔を上げると
優しく微笑んだヒメが、ポンッと私の頭に手を置いた。
「彼女も、美和と同じだ。
……綺麗で、優しい心を持ってる」
「………!」
「だから心配しなくていい。
瑠璃さんもきっと…」