この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第13章 お土産
「揺らすな。刺さるぞ」
「~~~っ」
「じっとしてろって」
心の中で騒いでいるつもりだったけど、無意識のうちにプルプル震えちゃってるみたい。
ピアスのフックを近付けた葵が、私の右耳を引っ張って制止させた。
……ドキドキが、止まらない。
「色違いで、サファイヤのブルーとグリーンもあったけど」
「………!」
「これが1番目立ってて、鬱陶しいくらい強調してきて
絶対買えって言われた気がした」
左の耳にも器用に付け終わった葵が、そう言って指を離す。
……クールビューティーになりたい私は、モノトーンや寒色系を好むけど
1番好きな色は何かと聞かれたら、迷わず……
「お前の色だろ?」
「………っ」
「……正解だな」
ボルドーに近い、深い赤のピアスを見つめて葵が笑った。
……葵が笑ってくれるだけで
私はもう、胸がいっぱいで
なんだか泣きたくなってきてしまった。