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rena's world story★a.n.r.r.y
第13章 お土産

「単なる義理だ」

「………!」

「心底どうでもいいんだけど
相手が相手なだけに、無下にするわけにはいかなくて」


佐伯お嬢様と私が口走ったのが、なぜかツボに入ったみたいで
葵は軽く笑みを浮かべながら続ける。


「系列グループ内の社長令嬢が、俺を気に入ってるらしい」

「………!!」

「面倒だから放っておいたら、上司に命令された。
根回ししやがって、権力乱用もいいとこ…」

「~~ちょ、待っ、待って……っ」

「………!」


半ば衝動的に腕を前に伸ばして
グラスをテーブルに置いた、葵の手の甲をぎゅっと握った。

……自慢じゃないけど、こーいった類の状況分析は得意。
淡々と放たれた言葉のピースを組み合わせれば

……この人、来週の土曜日に
好意を寄せられてる謎の令嬢と……


「……あ、葵……」


ドクドクと心臓が痛いほど跳ねて
葵の手を掴む自分の手がちょっと震えてる。


「なんだよ」


触れた手に指を絡めて、葵が笑った。


「さっきの続きしてぇの?
まだ半分も食い終わってないけど」

「違…っ、そうじゃなくて…」

「つーかお前の手って綺麗だな」

「………!」

「温けぇし、ずっと触っていたくなる」


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