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rena's world story★a.n.r.r.y
第14章 理由:面白そうだから
「~~帰らないでください!」
彼の左薬指にキラリと光る、ハワイアンジュエリーの結婚指輪。
さすがにその手に触れるわけにはいかないから、椅子の背もたれをグイッと引っ張る。
その拍子に、立ち上がろうとした姫宮さんがよろけた。
「~~てめぇ! なにす…」
「お願いします!
あと少しだけ一緒に居てください!」
「………!」
「ちょっとだけでいいですから……」
椅子から離した両手を、パンッと合わせて頭を下げる。
いまだかつて、こんな風にお願いしたことは一度だって無いけど
……私、自分でも引くくらい必死。
「……俺が残ったところで意味ねぇよ。
何の戦力にもなんねーって…」
「座って居てくれるだけでいいんです」
「……は?」
「……だって、なんだか……」
……やっぱりおかしい。
自分が自分じゃないみたい。
本来であれば、そもそもこんな単純なミスなんてしないし
誰かに助けを求めるなんて私のプライドが許さないから
徹夜してだって完璧に直しますって宣言するはずなのに
……葵の言葉が、頭から離れなくて……
“ 系列グループの社長令嬢が、俺を気に入ってるらしい ”