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rena's world story★a.n.r.r.y
第14章 理由:面白そうだから
……なんて読みの早い男なの。
なにひとつとして告げていないのに
今の言い回しだと、悩みの原因が葵だってこの人は気付いてる。
まぁ、高架下の居酒屋での前科があるから
あの時を思い出したのかもしれないけど
孤高のウルフってのも意味不明だし、何よりも……
「……あの、私姫宮さんに言いましたっけ?」
「あ?」
「プ、プロポーズの…」
「会社にエンゲージリング持ちこんで
ドヤ顔で見せてきたの誰でしたっけ~?」
「………」
それは覚えてるんだけど、葵の言葉まで言ったかな?
“ 2人で一緒に生きていこうよ ”
抱腹絶倒と言ったその台詞に、ドキュンと撃ち抜かれたのは事実なわけで
それを姫宮さんが知ってるってことは……間違いなく言ったんだよね。
私だけの、秘密の宝物にしてたつもりだったのに……
「……自慢してすみません」
仕事の相棒に、無意識のうちに求婚エピソードを披露する女。
……やっぱり私は痛い女なのかもしれない。
今、この瞬間でも
あの場面を思い出すだけで、胸がキュンとときめいてしまう。