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rena's world story★a.n.r.r.y
第3章 打ち合わせ
「蓮は?」
隣りに座る女性の2人組だけでなく、バーテンダーの店員さんの視線までも
彼の容姿と低い声に、吸い寄せられるように集まっていく。
「今、ちょうど連絡があって。
これから羽田を出るので遅刻するそうです」
「あぁ、そう」
「瀬名さんと、先に始めててくれって……」
週末の土曜日。
普通の会社員なら休日だけど、彼は今日もセンスのいい細身のスーツを着ていて
ビジネスカバンをソファに置くと、片手でネクタイを緩めた。
「瀬名さん、お酒飲みますか…」
「あいつ、今やっかいな案件を抱えてんだよ」
「……えっ?」
「 “ 優先すべきなのは、3週間後に迫ったお前達の結婚式 ” 」
「………!」
「だから俺に振れよって何度も言ったんだけど。
あんたも知っての通り、バカが付く程責任感の強い男で」
私の正面のソファに、腰を下ろすと
蓮と同じ、深い瞳で私を見つめた。
「誰よりも当日を楽しみにしてるのは
間違いなく、新郎の蓮だから」
「………っ」
「許してやって」