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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
「てめぇ何しやが…」
「悪い、手が滑った」
丸めた書類を手の中でポンポン鳴らして、淡々とした口調で話す蓮。
「相手の気持ちを考えない、残念な “ 虫 ” が居たもんで」
「………!」
「改心したはずなんだけど
困った事に、今でもたま~に発生するんだよな」
「………」
殴り返してやろうかと上げようとした腕が、思わず止まる。
微生物にも優しいはずのこいつが、人を虫扱いの上に暴力まで……
……笑ってるのに威圧感ハンパねぇんだけど。
「……蓮、お前…」
「佐伯、遅くまでお疲れ様」
攻撃オーラを消して、俺をシカトした蓮が佐伯に話しかけた。
「1秒でも早く行ってあげて。
佐伯に会いたくて仕方ないはずだから」
「………!///」
「仕事なんて忘れて、楽しんでおいで」
「……っ はい、ありがとうございます」
……数秒前、俺も同じこと言ったよな?
早く行って、楽しんでとお伝えしたつもりなんですけど。
笑顔だから?
言葉が丁寧だから?
口調が穏やかだから?
……相変わらず生まれるこの差は一体……