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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
「「………」」
蓮と一緒に見つめる俺の手にあるのは、長さ30cm程の木製の札。
白の和紙が巻かれた正面に、隣県にある有名な社寺の押印があって
毛筆で綴られた墨色の文字は……
“ 厄除安全御札守 瀬名葵殿 ”
「……瀬名、お前俺と同じで今年31だよな?」
「………」
「男の厄年って、確か次は40代じゃなかったっけ……」
宗教や信仰なんてどうでもいい俺でも、この札が何を示すかくらいは分かる。
初詣で参拝した時や、蓮が今言った通り厄払いの時に……
「……これって
寺で薪に火を燃やして、坊主が祈るやつ……」
「そうだよ、お護摩祈願。
俺も何年か前に母親に命令されて、本堂で聞いたような」
「………」
「てゆーか、神札って祀るものだから
普通は持ち出さないで、家に飾っとくもんだと思うんだけど……」
御守りじゃないんだから、と付け加えてハテナマークを浮かべる蓮。
……そういや昨夜、代休で休みだと言って泊まりに来た蘭が
早朝リビングで何かをしていた気が……
“ ……そのお嬢様
社長令嬢って言ったわよね? ”