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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
「……ははっ」
「………!」
堪らず吹き出した俺に、蓮だけじゃなく周りの奴らまで反応する。
……マジでなんなのあの女。
面白ぇことしやがって。
「おい、瀬名…」
「お嬢様を “厄” 扱い。
わざわざ関東三大師のひとつに行くとはな」
「……お嬢様?」
「すげー行動力。
金まで払って……ったく、なんの祈りを捧げてんだよ」
あーヤベー
マジでツボッた。
坊主と一緒に祈祷する蘭の姿を想像するだけで、込み上げる笑いが止まらなくなる。
「……瀬名、皆がザワついてるんだけど」
軽く引きながら蓮が正当なツッコミを入れてきた。
突然カバンから厄除けの札を出して、独り言を呟き笑い出せば
誰だって大丈夫かこいつって思うわな。
だけど……
「蓮、俺はいまだに残念な虫だけど」
「………!」
「思い浮かべて微笑むっていう、素敵なことが出来るようになったよ」
札を握り締める俺を見て、蓮が大きく目を見開く。
……蘭のひとつひとつが、俺の心を照らして
何でもないことなのに、小さな火を灯してくれるような……そんな気分になる。
「……シアワセだな、俺は」