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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
* * *
同僚達のざわめきが収拾つかなくなったから
札をカバンに戻して、喫煙所併設の休憩スペースへ移動した。
「……瀬名、マジでやめろよな」
煙草を潰して仕切りの扉を開けると、なぜか俺に付いてきた蓮が
缶コーヒーを飲みながら溜息を漏らす。
「俺、2年前を機に涙脆くて困ってるんだから。
ふいうちで打ちこんでくるなよ」
「はぁ? 意味不明」
「佐伯にも見せてやりたかったよ、お前の隠れた成長ぶりを…」
「なんか顔赤くねぇ?」
……誰のせいだよ、と言って蓮が俺の分を投げてよこしてきた。
ガラス張りの高層階から見える、いつもと変わらない夜景。
蓮と並んで窓に背中を付けると
この時間まで残っている女の2人組が、蓮より顔を赤らめて出ていった。
「……ったく、まだ根付いてやがるな」
「え?」
「俺と蓮のゲイ疑惑。
払拭してぇっつーのに、大迷惑」
「……こっちの台詞だ。
そもそも誰のせいだと…」
「姫宮が言ってたぜ。
“ 仲間といる時も、蓮は瀬名の話ばかりする ” って」
「………」
「そんなに好き? 俺のこと」