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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
こいつのことだから、マジで頷くかもしれねぇって思ったけど
「そんなことより、瀬名」
流石に呆れた表情の蓮が、俺の問いを無視して溜息を漏らした。
「さっきの、○○○船の令嬢と食事するって話」
「あぁ、明日な」
「……しかもクルーズって…」
「俺じゃねぇよ。
相手が全部勝手に決めやがったんだ」
後回しにしたい仕事が山程あるのに、貴重な土曜がそのせいで潰れたから
実は密かに楽しみだった、4日前の蓮の誘いをドタキャンするハメになった。
休憩スペースに来る短い間に、明日の “ 任務 ” の説明を聞いた蓮。
その精悍な顔がますます歪んでいく。
「なんでまず俺に言わないんだよ。
もっと早く教えてくれれば、色々と…」
「お嬢様の誘いを断り続けた張本人がよく言うぜ」
「………!」
「てめぇが結婚したから標的が俺に移ったんじゃねぇか。
ったく、身を固める前に始末しとけっての」
まぁ、そう考えると
引き継いだ後の2年間、俺も我ながらよくスルーできたもんだな。
その間、根気よくラブレターを寄こし続けてきた相手も相手だけど。