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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
「違うよ、瀬名」
飲み終わった缶を捨てて、蓮が小さく首を振った。
「あの令嬢のターゲットは俺じゃない。
最初からお前だ」
「ははっ、まさか。
爽やかなイケメンを差し置いて俺に来るかよ」
「嘘じゃないよ。
彼女が高校生の頃から、紹介してくれって頼まれてたんだから」
「……!」
「感謝してほしいのはむしろこっち。
上司を上手く動かして、ずっと阻止してた」
「………」
「諦めるって言ってたから安心してたのに
結局直接お前に……」
……総会・会合や祝賀会の度に、偉大な父親の陰から
熱く恋焦がれると言うよりは、どこか見定めるように注がれていた静かな視線。
当然隣りにいる蓮に向けられたものだと思っていたけど……
つーか高校生の時からって、アホなんじゃねぇの。
笑わせるな。
どんだけ出逢いねぇんだよ。
「身近な男じゃ満足できねぇってか?
ひと回り歳上をからかいやがって…」
「……瀬名、気を付けろ」
「……あ?」
「彼女は、ただの世間知らずのお嬢さんじゃない」
更に声を低くした蓮が、真っ直ぐ俺を見た。
「若干ハタチの学生だと思って対処すると、痛い目に遭うよ」