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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
お人好しってくらい面倒見のいい蓮。
後輩には勿論、上司や取引相手にまでアドバイスをするこの男でも
俺にだけは余程の事がねぇ限り口出ししてこない。
「……へぇ」
つまり言い換えれば
蓮の “ 気を付けろ ” には、それなりの何かが潜んでるって意味だ。
「面白ぇじゃん。
お前が俺に警告するくらい、デカい山があるってことか」
「………」
「 “ もっと早く教えてくれれば、色々と ”
さっき言いかけた続き、聞かせてみ…」
「いや、いいんだ」
ニヤケながら近付く俺の言葉を遮って、蓮は苦笑いを浮かべる。
「用心しろよってだけ。
瀬名の仕事に、俺が何か言えることは無いからさ」
「ケチんなって。
たまには “ 太陽 ” の流儀を教えてくれよ」
「そんな俄然やる気になって燃えてるお前に、流儀伝授も何もないだろ」
「はは、俺はそんな熱い男じゃねぇって」
だけど、蓮の助言によって
心底どうでもよかった明日の食事に、数ミリ程の興味が生まれたのは確かだ。
“ 厄除安全御札守 瀬名葵殿 ”
……蘭、お前もある意味すげーな。
心から尊敬するよ。