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rena's world story★a.n.r.r.y
第16章 ミッション終了
……初対面だけど、分かる。
薔薇の花が似合いそうな、気品漂うこの人が
豪華クルーズのチケットを入手できる、優香さんという社長令嬢……!!
「は、初めまして、早坂蘭と申します…っ」
巻き髪を靡かせて近付いてくる彼女に、私は勢いよく頭を下げた。
き、緊張しすぎて声震えちゃってるんですけど……
「こ、この度は私の暴走で大変なご迷惑を…」
「お気の毒ね。仕事の相棒が馬鹿な男で」
「………!」
「心から同情するわ」
ふうっと聞こえた小さな溜息。
恐る恐る顔を上げると、彼女がチラッと移した視線の先で
自分の旦那をバカと言われたのに、香月さんが笑顔でうんうんと頷いた。
……ドキドキと、胸の鼓動が速くなっていく。
「 “ 乗り込んでやろうかと、一瞬血迷ったことを企みました ” 」
「………!」
「姫宮くんの頼みなんて金輪際受けないつもりだったけど
電話の向こうから聞こえたその台詞が、協力しようと思った決め手」
長い睫毛の下から覗く大きな瞳。
再び私と向き合った彼女が、ゾクッとするほどクールに微笑んだ。
「いい大人のくせして、恋する乙女。
でも嫌いじゃないわ」
「………っ」
「仕方ないから、盛大にバックアップしてあげる」