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第16章 ミッション終了

「ほ、本当に始まるんでしょうか……」


ただの尾行だというのに、これだけの重装備。
恐る恐る聞いた私に、姫宮さんはしれっとして頷いた。


「優香から伝言。
“ 今回のミッションがバレずに成功したら、今着ている服も靴も貴方にあげる ” 」

「………！」

「優香と美和は先に行った。
２人で別の席で勝手に楽しむから、健闘を祈るだとよ」


袖口のボタンを止めながら、そう彼は言ったけど
……確か、その優香さんがこの前の電話で……


「あ、の……チケットをプラスで８枚取るとか仰ってませんでしたっけ？」

「あぁ、結局皆予定入ってて集まらなかったらしい。
急過ぎるんだよって、なぜか俺に抗議のメールが殺到しやがった」

「そうなんですか……」

「美和にも別に来なくていいって言ったんだけど
あいつ今優香の会社で働いてるから、断れねぇんだよ」


断れないって姫宮さんは言うけど、香月さんかなり楽しそうだったような……


“ 頑張ってね！ 早坂さん♡ ”


２階に上がる時に手を振ってくれた彼女を思い出して、胸がじーんと熱くなる。

彼の提案とはいえ、笑顔で送り出してくれる……
なんて素敵な奥様だろう。