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rena's world story★a.n.r.r.y
第16章 ミッション終了
「お疲れ様でした」
運転手の男性がそう言って車を停めたのは、乗船場が目と鼻の先にある桟橋の入口。
既に何人もの客人達で賑わっている様子が伝わってくる。
「……おい、落ち着け」
高級車なのにやけに揺れるなと思ったら、自分の震えからくる振動だった。
ほんと落ち着きなさいよ、蘭。
いや、私は今変装してるから蘭じゃないのか。
じゃあ何になるんだろ。
なんの設定?
アメリカ青年が恋に落ちる、上流階級の娘でいいのかしら。
「大丈夫よジャック、私は至って冷静…」
「いいから落ち着け」
無表情の姫宮さんに繰り返されて、外に出ろと首で合図される。
運転手さんが後部座席のドアを外側から開けると、ふわっと海の香りが広がった。
「ゲートの右側に四角い柱が見えるだろ?
瀬名と令嬢が席に着くまで、あの陰に隠れて待機するから」
「~~えっ!?」
「まだ来てねぇらしい。
優香と美和が中に居て、船内のロビーで見張ってんだよ」
「………」
「見つけたら連絡しろって言ってあるから、俺達はそれまで外で潜伏」