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rena's world story★a.n.r.r.y
第3章 打ち合わせ
ゆっくりと顔を上げたけど、瀬名さんの目は資料に向けられたまま。
同じく視線を落として、ゆらゆらと揺れる煙を見つめた。
……長くて綺麗な人差し指で
灰を落とすその仕草まで、かっこいい。
「花嫁サン、俺の話聞いてた?」
「……えっ!?」
「別に大変じゃねぇから」
彼の低い声で
見惚れていた自分にハッとして、慌てて背筋を伸ばす。
「俺は裏方なんだよ。
好き勝手に指示するだけ」
「……で、でも準備とか…」
「今までも何回もやってるから。
仕事柄得意だし、うんざりするほど慣れてる」
「それでも、あの…」
「しつけぇな。諦めて任せろよ」
「………」
蓮とは正反対の、冷たくてぶっきらぼうな言葉。
だけど私は、この人の口調や態度が嫌いじゃないし
むしろ今となっては好きかもしれない。
……それは
1年前のバレンタイン
空港で偶然出会った、もう1人の茶髪の彼に
どこか似ている気がするからかな……