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rena's world story★a.n.r.r.y
第16章 ミッション終了
怪しいからキョロキョロするなと姫宮さんに制されながら、彼に続いて早足で歩く。
「賑わってますね……」
今日はクルーズ運営何周年かの記念日で、そのお祝いとしてロワイヤルなんとかっていう豪華客船が運航することになったらしい。
……だからかな。
周りに集まる人達から、どことなく裕福な空気を感じる。
海員紺制服を着る関係者や、いかにもお偉いさんといった類の人達もちらほら見える。
「……姫宮さん、私浮いてませんかね?」
乗り場のすぐ右側にある、桟橋を支える太い柱。
柱を背にして立った彼に向けて、ポツリと呟いてみる。
普段頑張って気取っているものの、所詮私は単なる庶民。
これだけ綺麗に変身させてもらっても、緊張のあまりボロが出そうで……怖い。
「とにかく喋らないように気をつけ…」
「早坂、寒くねぇ?」
「……へっ?」
「そのスプリングコートの下、ノースリーブだろ」
私の言葉を遮って、姫宮さんはそう言うと
自分の首にかけてあったカシミアのストールを、ふわっと私の肩にかけた。
「心配するな、ちゃんと俺がエスコートするから」
「………っ」
「何も問題ねぇよ」