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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
薄く残った深紅の液体を揺らして
グラス越しに2人を覗く、感情の読めねぇ瞳。
……この品定めするような視線、父親にそっくりだ。
「ご心配なく」
ワインクーラーからボトルを持ち上げて、令嬢のグラスに足していく。
「誰が俺を見ていようと
俺は今、貴方しか見ていませんから」
「……あら♪」
「 “ 今は ” 、です」
最後を強調して自分のグラスにも残りを注ぐと
楽しくて堪らないというように、彼女はニタニタと笑みを浮かべた。
……この女を初めて見る奴なら誰しも
ゴスロリの衣装を着せて人形でも持たせれば完璧、と思うに違いねぇ。
真っ白な肌に小さな体。
目の周りを黒のアイラインで囲い、寒いんですかとツッコミたくなるような薄紫の唇。
妙に落ち着いていて、学生らしい無邪気さは一切ねぇけど
指を咥えたり足を揺らしたりする様子を見ると、行儀の悪い子供だとも感じられる。
……このイカレた女に、あと2時間も付き合わなきゃいけねぇのかよ……