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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
「見られてるというなら、同じじゃないですか?」
俺と年齢が近そうな、スーツ姿の男が2人。
さらにその奥にもっと若い、美形な男が4人。
どう見ても浮いているそいつらが
乗船してからずっと、この女と同じ視線を向けてきている。
「神代(かみしろ)さん、あんたの取り巻きが何人も…」
「ユリアよ」
「………!」
「百合亜。ちゃんと教えたでしょう? 葵」
「………」
「あと、敬語も嫌よ。
私が嫌と言ったことは、絶対にしないでほしいの」
……マジでなんだこいつ。
つーか気安く呼んでんじゃねぇよ。
蘭と同じ呼び方するな。
「いえ、続けます。
百合亜さんが嫌な気分になってくれても、一向に構わないので」
ワインを飲む令嬢に聞かせる為に、俺はわざと大きく溜息を漏らした。
「相手してくれる男があれだけ揃ってるなら
最初から俺は必要無かったんじゃないですか?」
「違う。彼らはコマよ」
「……コマ?」
「今夜、貴方がドタキャンする可能性もあった。
そうなった場合、この席で1人で飲んでたら寂しいじゃない?」
唇をペロリと舐めて、再び浮かんだ不吉な微笑み。
「私は、貴方だけ。
本命は貴方なのよ、葵」