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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
……人を捨て駒扱いする奴に、本命と言われて嬉しがる男がいるかっつーの。
「過去も今も、プライベートな誘いは何度も断ってきましたが
これは仕事ですから」
「………!」
「社会人たるもの、遅刻もドタキャンも許されないんですよ」
運ばれてきた前菜のアラカルト。
並べられたカトラリーを手に取ると、令嬢は睫毛を瞬きさせて首を傾げた。
「不思議な人ね」
「………」
「貴方なら、断ることだって出来たはずよ。
そんなあからさまなのに、どうして私と食事しようと思ったの…」
「命令した上司に家族がいる」
「………!」
「あんたの会社に見捨てられたら、死ぬしかない企業がある。
それだけだ」
あーあ、結局いつもの口調に戻っちまった。
右手に握られたナイフが飛んでくるかと思ったけど
「あはは、失礼ね」
俺と同じで、この女もどこか感性の一部が欠落してるらしい。
今の発言の何が良かったのか、やっと歳相応の笑顔を見せた。