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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
「── 3年前
総務に配属された派遣の女が、変な時期に契約未更新として退職した」
「………!」
「自ら辞退とされていたが、それは表向きで
“ とある正規社員へのストーカー行為 ” による強制解雇が本当の理由」
「………」
「その社員がバカが付く程優しい男だったから
警察には届けずに事は済んだけどな」
就職して6年目の春。
俺の斜め前のデスクで、部長と蓮が会話する情景が脳裏に浮かぶ。
「……なぁに? 急にどうしたの?」
「単なる思い出話だ。
メイン料理が来るまで適当に聞いとけよ」
「………」
「本命の男の語りなら、興味あるだろ?」
俺の問いかけに静かに笑い、スープを口に運ぶ令嬢。
食事の作法だけは教えられたようだ。
「もうひとつ、今から2年前の秋。
創立当初からお荷物だった、不正一族の “ 残り ” が消えた」
「……不正一族?」
「詳しいことは知らねぇが、息子が潜む南米へ高跳びしたっていう噂がある。
ただ、こいつらも本来はもっと早く別の形で始末されるはずだった」
「………」
「どこかの誰かが、手助けして命拾いしたと聞いている。
まぁ、もう二度と日本には戻って来れねぇとは思うけどな」