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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
当時、結婚式の準備と並行せざるを得なかった蓮と共に、様々な人脈を駆使して調べたが
一条一家の逃亡に手を引く内部の人間を炙り出すことは、最後まで出来なかった。
……それがまさか
制服を着た10代の少女だったとは……完全に盲点だった。
「……その話を聞いて、私も思い出したわ」
カランと鳴らしてスプーンを手から離すと
再びワインを口に運んで令嬢は溜息を漏らした。
「好きな人の働く姿を見たくて、送り込んだパパの部下が
本来の目的を忘れて、彼の同期の男に惚れ込んでしまったのよ」
「………」
「ガッカリしたわ。これだから女って大嫌い」
本気で悲しそうな表情を浮かべるこいつの脳内、マジでどうなってんだ?
疲れる。
ここが禁煙なのが恨めしい。
「それと、私はパパから教えてもらったの。
我が神代家と一条家は古くからの付き合いで、同志なんだって」
「……同志?」
「先祖から続く、 “ ナカマ ” であり “ オトモダチ ” なのよ。
仲間がピンチの時に助けるのが友達でしょう?」
追加のボトルを店員に要求しながら、彼女はじっと俺を見つめた。
「ニューヨークJFKからリオまでのフライトは10時間。
先月、お逢いしたばかりよ」
「………!」
「もし宜しければ、居場所を教えてあげましょうか?」