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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
ストーンでギラギラにデコレーションされた携帯を取り出すと
置いたテーブルに両肘を付けて、ニコニコ笑って俺の返事を待つご令嬢。
「………」
浅ぇ。
駆け引きが下手。
頭は良いようだが、賢くはねぇらしい。
優越感に浸って漏らしたであろう今の自慢話は
俺にとっては探していたパズルのワンピースになっただけ。
「ありがとうございます」
「……えっ?」
「流石、一流企業のお嬢様ですね」
今日、ここに来て唯一の成果。
蓮の助言によって、思わぬ形で上司へのいい土産が出来た。
「褒めてくれるなんて。すごく嬉しい」
パアッと顔を輝かせる令嬢。
ウキウキした様子で連絡先を呼びだそうとしたけど
俺は一度だけ首を振って、その指の動きを止めた。
……仕事はここで終了。
だけど、最後にひとつだけ……
「楽しそうなところ悪いけど
正直言ってどうでもいいんだ、俺は」
「………!」
「ストーカーも一条も。
既に終わった話を盛り返す気力なんてねぇし、そんな暇もない」
「………」
「成績優秀だからクソ忙しいんだよ。
お嬢様の遊び相手をするのは、今日をもって終了です」
グラスを持って、1人で乾杯のポーズを披露する。
「長期に亘る一方的なラブレター攻撃。
お疲れ様でした、百合亜さん」