この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
携帯を持った手を止めて、令嬢が俺を睨みつけてくる。
……笑ったり怒ったり忙しい女だな。
トリュフソースの香りが漂う、メインの肉料理を持ってきた店員。
異様な空気を作る俺達の間に皿を置くと、引きつった顔で戻っていった。
「……葵、貴方ちょっとムカつくわ」
「俺もあんたがムカつく」
「………!」
「一回りも年上なのに、大人げない言い方しちまってごめん。
でも、マジでそう感じてるから仕方ねぇんだわ」
今から伝える話も、とうの昔に終わったこと。
蓮も知らない話。
……だけど、仕事に必要のねぇ感情が動く程に……
「 “ 恐怖の手紙・無言電話・職場への乗り込み ” 」
「………!」
「何の腹癒せなのかは知らねぇが
自分でやるならまだしも、命令して他人の手を汚させるってどんな神経だよ」
“ 蓮に、救命胴衣を着せた方がいいかしら ”
42階のダイニングバーで、二次会の打ち合わせをした2年前。
真面目な顔してそう言ったあの人は、自分が受けていた嫌がらせについては一切口にしなかった。
……本人は知らない、主犯格を目の前にして
ふつふつと何かが俺の中から発生する。