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rena's world story★a.n.r.r.y
第3章 打ち合わせ
……口の悪い冷めた男は仮の姿で
この人、実は甘い台詞をサラリと言えてしまう人なのかもしれない。
「……マリッジブルーだなんて、決してそんなことは無いのです」
瀬名さんが作ってくれた話しやすい空気に甘えて、私も手帳を閉じた。
「蓮と結婚できるなんて、夢みたいで」
「あっそ」
「でも、なんだか恐れ多くて」
「……は?」
やっとビールを口にして、瀬名さんが怪訝な顔をする。
……そうよね。
ここまできて、何言ってんのって話よね。
だけど……
「私、結婚式はコンパクトでいいかなってずっと思ってて。
披露宴ではなくて、レストランウエディングみたいな……」
「………」
「本音を言えば、もっと小人数で祝っていただれば充分…」
「そりゃ無理だな」
私の淡い本音を、途中でバッサリと切られた。
「商社と航空の結婚を、ひっそり出来るわけがねぇ」
「………」
「うちの社長、自ら出席するって言ったんだぜ?
幹部クラスがマジでザワついてたから」
「………」
「そもそも相手は業績ナンバー1の鈴木蓮。
この時点であんたの願いはとっくに終了してるっつーの」