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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
シャレになんねぇから、右手に持ったナイフを一旦テーブルに戻した。
メインステージでジャズの生演奏が始まって
俺達以外の客は、各々で楽しいクルーズのひとときに酔いしれている。
「……分かってるわ」
少しの間沈黙していた令嬢が、肩を落としてポツリと呟いた。
「別に私、鈴木蓮と鈴木瑠璃に執着してるわけじゃないもの。
その証拠に、あの人達が結婚してからは何もしてないわ」
「………」
「これからも迷惑になることはしないって誓う。
だって、葵が嫌がることは絶対にしたくない」
「……!」
「葵に嫌われたら、私……生きて、いけない」
……は?
「貴方が好きな、の」
「………!」
「……ふ、……っ
そんなに怖い顔しないで……」
唇をきゅっと噛みしめて、みるみるうちに潤んでいく瞳。
唖然として見つめる間も無く、黒い涙がその頬を伝っていった。
「………」
いやいや、待てって。
なにこいつ。
頭のネジぶっ飛んでんの?
このタイミングで泣き芸って何?
「あの、百合亜…」
「お願い、私を嫌いにならないで」
「………」
「私も……っ
葵にとっての、大切な人になりたいの」
あーーー
マジでめんどくせぇ……!