この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
「……逆に聞くけど」
悪酔いしそうな予感がして、店員を呼んでチェイサーを注文する。
動揺しまくりのそいつをすぐに戻して、俺はげんなりしながら続けた。
「今までの流れで
俺があんたを好きになりそうな場面が、どこかにあったか?」
「………」
「嫌われる要因を増殖してんのは百合亜さん、あんた自身だと思わねぇの?」
舌打ちして撤退したい気分を何とか沈めて、仕方なくハンカチを渡すと
無言で涙を拭い、鼻をすすりながら令嬢が顔を上げた。
……マジでなんの拷問だよ、これ。
後ろからあいつらが見てると思うと、溜息が止まらねぇ。
「……つーか、俺のどこに惚れてるわけ?
全くと言っていいほど、あんたから恋心みてぇなもんを感じねぇんだけど」
「………」
「ろくに話したことも無い、外側だけしか知らねぇ男に対して
愛を語りながら泣けるって……」
要するに演技なんだろ?と付け加えると、再びその瞳に涙が溢れた。
……あー無理もう無理。
この人、誰かなんとかしてくれねぇかな。
姫宮に交代させたいくらいだけど、あいつ意外と俺と似てるから
蓮の嫁の話を聞いたら更に炎上させそうだし、それ以前に巻き込むわけにはいかねぇし。
“ 用心しろよってだけ。
瀬名の仕事に、俺が何か言えることは無いからさ ”
……蓮、頼むから帰ってきて。