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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
「── 媚びるか、威張るか」
黙ったまま淡々と食事をする俺に、やっと相手の口が動いた。
「パパの会社のオジサン達も、学校の友達も
私に近付く人間は、その2極でしかないの」
「………!」
「男はみんなバカみたいに優しいけど、退屈すぎて。
チヤホヤされるのも、本当は好きじゃない」
「………」
「だから貴方を紹介してもらった時
その冷たい感情の無い瞳に、ズキュンと心臓が打たれたの」
黒のネイルを光らせた両手を、胸に当てて
令嬢はふっと笑みを浮かべる。
「葵がダメっていうなら、 “ 趣味 ” を続けるのは止めるわ」
「……趣味?」
「私にはそれくらいしか楽しみが無いけど……葵が嫌ならすぐ止める。
その代わり、いっぱい褒めて?」
「………」
「葵が褒めてくれたら、私生きていられる!」
目をキラキラ輝かせて、テーブルをガタガタ鳴らせて身を乗り出す姿。
病んでるとしか思えないこの醜態に、これ以上ねぇ程に俺の心は冷めていく。
「……優しくチヤホヤされるのは、好きじゃねぇんだろ?」
「葵は特別!」
「特別な俺の言う事は何でも聞くわけ?」
「うん!」
「じゃあもう誘わないでくれ」
目を見開いた令嬢に向けて、俺は軽く頭を下げた。
「婚約した彼女がいるから
……あんたとは、もう会えない」