この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
……いや、違ぇか。
婚約ってなんか書類的なものが必要なんだっけ。
まぁ、形は何にしても
俺の心は揺らぎなく決まっている。
「……婚約……」
「あぁ、だからもうメールもしてこないでほしい。
当然、鈴木蓮の方にも」
「………」
「今夜あんたと会ったのは、それを直接伝える為だった」
……昨日、蓮に言った通り
俺がどんな女と会おうと、蘭が困るなんてありえねぇと思ってた。
何てことない顔して、どうぞご自由に。
そう言って手を振られる……そんな程度だと思ってたんだ。
だけど
変装したつもりで、俺の目の前に突然現れて
あの顔面蒼白で揺れる瞳を見たら……
「……どこまで、惚れさせりゃ気が済むんだよ」
「……え?」
「いや、こっちの話」
怪訝な顔をする令嬢に向けて、小さく首を振る。
黒髪で正装した姫宮に対しての、嫉妬心も相当あるはずなのに
それを上回る程に、蘭が心配して来たことが嬉しいなんて
……重症だな。
「俺も、あんたと同じで
彼女が嫌がることはしたくねぇから」
「………」
「申し訳ありませんが、お気持ちに応えることはできません。
どうぞご理解ください」