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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
終了の位置にカトラリーを置いたメイン料理の皿が、静かに引き下げられる。
俺としては、別れの承諾として頷いてくれりゃそれでいいのに
「……今、貴方微笑んだわ」
テーブルの中央で揺れるキャンドルの灯。
そのゆらめきを見つめていた令嬢が、小さく口を開いた。
「そんな風に笑える人だとは、思わなかった。
冷酷で、女に興味が無くて、恋人なんて何とも思わない人だと…」
「そーやって外見と先入観だけで判断してるから、勝手なギャップが生まれるんだよ。
相手からしたらすげー迷惑だから止めろ」
「………」
「まぁ……10年前の俺だったら
あんたの理想に近かったかもしれねぇけどな」
残っていたワインを飲み干すと、周りが賑わい始めた。
ここからは、ビュッフェ形式のデザートや食後のコーヒーが出るだけで
テラスに出たり、別フロアにあるBarスペースに移動したりといった自由時間へと変わる。
「NYで短期留学してるなら、分かるだろ?
世界には多種多様な人間がいる」
「………!」
「別に先輩ヅラするわけじゃねぇけど。
あんたの理想を突き破るような男が、この先現れる確率だってゼロじゃない」
「………」
「嫌がらせなんて悪趣味してる暇があるなら
その確立を少しでも上げる為の努力をしたらいい」