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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
“ 俺よりもっといい男がいるから、この先きっと出逢える ”
……そんな風に締め括ってやりゃ、気持ちよく終わるのかもしれねぇけど
こいつが蓮の嫁にした事実は消えないから、突き離すのみ。
「悪いけど、ここからは
駒の誰かにバトンチェンジさせて」
「………!」
「あと1時間、社交辞令を続けられそうもねぇから。
せっかくのクルーズ、あんたも楽しく過ごしたいだろ?」
視線を左側へ送り、指を回して交代の意思を示すと
若い男4人が驚いたように顔を見合わせて、英語でヒソヒソと話し始めた。
「では、百合亜さん。
父上に宜しくお伝え…」
「賢い判断とは言えませんわね」
「………!」
「社会人に社交辞令は付き物じゃなくて?」
立ち上がった俺を見て、令嬢はボソリと呟くと
椅子を引いて片足を組みながら続けた。
「……私の恋人になったら葵、あなた一生安泰よ?」
「………」
「昇進街道を最短距離で進める。
それどころか巨大な力を手に入れることが出来る。
行く末は今の会社の頂点まで……」
ニタニタ笑いながら、小さな右手を俺に向けて差し出てくる。
「見たいでしょう?
庶民には、死んでも眺めることが出来ない景色を」
「………」
「この手を握るだけでいいのよ」