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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ

……どこまでも、愚かな女。
「………!!」
喜ぶよりも驚きの方が勝ったようで、令嬢の表情が分かり易くたじろぐ。
テーブルの横に移って
差し出された手に遠慮なく自分の手を合わせ、ぐっと力を込めた。
「…痛っ…」
「お別れの握手です」
「………っ」
「誘わないでくれって、さっき伝えたはずなんだけど」
すぐにパッと手を離す。
右手を押さえて眉を寄せた令嬢に、キッと睨まれたけど
俺はさらに一歩近付いた。
「終わりだっつってんのにガタガタうるせぇな」
「………!」
「海運大手の婿養子、総合商社の執行取締役、頂点から見る景色……だ・か・ら・何?」
「………!!」
「いらねぇよ、ボケ」
冷たく見下ろすと
怒りで煮えくり返ってるのか、その肩が小刻みに揺れている。
つーか冷酷な男が好きなんじゃねーの?
むしろ足りねぇ?
これだけサービスしてんだからもっと楽しませろよ。
「一生安泰とか、本気で言ってんの?
ダセーから公言しないほうがいいぜ」
「……っ だって! 実際そうだから…」
「生きてる限りそんなことは絶対にありえない。
驕りで我を見失った人間が崩れる時は一瞬だ」
「~~私は違う!」
「そうだな、お前は何かあってもパパが助けてくれるもんな」
「………っ」
「良かったね、お嬢様」

