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rena's world story★a.n.r.r.y
第17章 いらねぇよ
「………」
10代の頃は、常に心の中を支配していた黒い影。
久しぶりに体の奥から湧き上がる感覚で、一瞬目の前が霞んだけど
……懲りねぇ女だな。
「………!」
「おい、お前…っ!」
隣りに立っている男の1人が、顔色を変えて腕を伸ばしてきたけど
その間をすり抜けて、俺は令嬢の顔を軽く掴んだ。
「……聞かせて…くれるの?」
その顎をぐっと持ち上げただけで、すぐに現れた動揺の色。
……口にしてはいけない不文律を放ったことを、こいつは言った瞬間に気付いている。
「こ、ここじゃなくて、2人きりで…」
「俺の両親は死んだ」
「………!」
「腫れ物扱いをした親戚は皆、他人のふりをした。
……俺に家族はいない」
令嬢を見下ろして
周りを囲う取り巻きに聞こえないように、そっと耳元に口を近付ける。
「── Don't push your luck.
(あまり調子に乗るなよ)」
「………っ」
「(出生を調べて知ったなら
俺に深く関わるとどうなるか……当然理解できるよな?)」
お望み通り、ドラマのように脅し文句を披露してやっただけなのに
冷や汗を浮かべた令嬢が、慌てて俺から離れた。
……ガキが。
ミーハー心だけで首突っ込むんじゃねぇよ。