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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で

* * *


「……綺麗」


潮の香りを運ぶ夜風が、酔って火照った頬を吹き抜けていく。

暫く目を閉じてその心地良さを感じていたけど
ゆっくりと目を開けると、目の前一面にドラマティックな夜景が飛び込んできた。

……時刻は8時半。
船はベストポジションで停泊しているから、風はとても穏やかだ。


「……あ……月が見える」


辺り一面、宝石を散りばめたような大パノラマ。
濁った空の中にその天体を見つけると、思わず独り言が漏れる。


……12年前、制服を着た最後の日。

なぜか急に
葵と月を眺めたあの時の場面が、懐かしい会話と共に脳裏に蘇った。


社会人となって1人暮らしをするまで住んでいた私の実家は
姉妹4人が同じ部屋という、悲しいくらい狭い平屋の一軒家。

私の両親と姉3人に溺愛されている葵は
施設に入ったあとも、結局我が家に来て食事をする機会が多かった。

……来ない日は、不特定多数の女の家を転々としていたんだろうけど。



“ あいつは北風じゃない。
例えるなら……月 ”


「………」


……姫宮さんがそう言った通り

今思い返せば、葵は昔から

月灯りのように、どこか切ない表情をする時があった気がする……


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