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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
見た目も美しい料理は、本当に美味しかった。
食事中、姫宮さんのエスコートは溜息が出るほど素敵だった。
……でも
胸が苦しくて、途中でメインフロアを飛び出してしまって
姫宮さんが後から、この部屋に連れてきてくれた。
自称クールビューティーの私は、所詮その名の通り自称だったんだ。
「あのな、ガキじゃないんだよ俺は」
苦笑いを浮かべながら、姫宮さんもロックグラスを手に取る。
「甘党に否定はしねぇけど、それより酒の方が好きだし。
つーか、お前をほっとけるわけないし」
「………!」
「何度も何度も瀬名をチラ見して、俺の前で泣きそうな顔するから。
立案した身としては責任感じてるんだよ」
「………っ」
「……落ち着いたか?」
普段命令口調の男が、少し優しい声に変わっただけで
抑えている全てが込み上げてきてしまった。
……違うの。
姫宮さんのせいじゃない。
そうじゃなくて……
「私、上手く言えないんですけど……
今の正直な気持ち、お嬢様に嫉妬してるわけじゃないんです」
「………!」
「いえ、嫉妬心はあることはあるんですけど
……それよりも、自省の方が強くて……」