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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
「……自省?」
首を傾げた姫宮さんが、視線を前に向けたまま続ける。
「早坂が反省することじゃないだろ。
俺が言いだしたんだから」
「いえ……
今夜もそうですけど、今までの……過去のことです」
「……?」
「……2ヶ月前にも思ったけど
私、本当に葵のことが見えていなかったんだなって……」
幼なじみだなんて、よく言えたものだ。
学生の時も社会人になってからも
程良い距離を保ちつつ、葵の友人としては誰よりも近い位置にいると思ってた。
話さなくても、聞かなくても
お互いはどこかで分かり合えてるって、そんな勝手な解釈までしていた。
……でも、それはとんだ勘違いで
彼の本質も、想いも……あの切ない瞳も
何ひとつとして、私は葵を理解しようとしていなかったんだ。
「乗船してから、席に着くまで
葵の行動ひとつひとつに、私、胸が締めつけられちゃって」
「………」
「ふふっ、意味分からないですよね。
……でも、離れて見る彼があんなにかっこよかったなんて……知らなかった」