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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
またノロけてるなぁと思いながらも、溢れる想いが止められない。
決して下手に回らず、だけどエスコートは完璧で
佇まいも、振る舞いも、仕草も
言葉では表せない凛とした空気を、葵は見事に作り出していた。
一見冷たそうに見える大人びたお嬢様が、葵に強く惹かれていると分かったのは
私が彼女と同じ、葵に恋をしている女だからだろう。
……感動したその一方で
黒い靄のようなものが胸の奥を支配していて……消えてくれない。
「 “ どう? 素敵でしょう私の彼氏。
あなたが想いを寄せる彼は、私と婚約したのよ ” 」
「……は?」
「……知っての通り私、性格悪いんですよ。
食事中ずっと、心のどこかで……そんな優越感を必死に感じようとしてました」
「……!」
「……ほんと、自分が嫌になる……」
“ 作らないで、等身大の自分でいろよ。
充分いい女だから ”
“ 蘭は、そのままでいいんだ ”
……ねぇ、葵。
そう言ってくれた貴方は、何もかもお見通しだから
これが本来の私だって知ってるんだよね。
妄想癖で、嫉妬深くて、どうしようもない暴走女と分かっていながら
私を好きになってくれて、これからの人生を共に歩もうと言ってくれた。
……そんな優しい貴方に、私は何が出来るのかな……