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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
「………!」
その時、下のオープンデッキからワァッと歓声が聞こえてきて
同じ右の方向へ視線を移すと
臨海区域にあるテーマパークから、恒例の花火が上がっていた。
「……綺麗ですね」
夜空に浮かんでは消える華を見つめながら、自然と口から零れる想い。
……いつもこんな風に、素直に言葉にして伝えられたらいいのに……
「お前の方が綺麗だけどな」
「………!」
「あの花火以上に」
……えっ!?
な、なんだって……!?
「ひ、姫宮さん?///」
滅多に褒めない彼が、いきなりそんな爆弾発言をしたから
冗談だろうと思って振り返ったけど……花火を見つめる彼の目は真剣だった。
「なんつーか、大事なことに気付いて
悩んだり苦しんでる様子を見ると、ちゃんと恋愛してんだなって感じる」
「………!」
「仕事に支障が出るのはよくねぇけど、それくらい必死だってことが伝わるよ」
私に視線を向けて、姫宮さんはふっと笑った。
「お前見てると、片想いしてた頃の自分を思い出しちまって
感情移入したことが、此処に来た本当の理由」
「………っ」
「だから、今夜は完全に俺の衝動。
……ごめんな、早坂」