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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
心臓がきゅうっと締めつけられて、言葉が出なくて
切なく微笑む彼に向けて、私は大きく首を振った。
……胸が、ドキドキする。
「結婚してからも、美和がよくブツブツ言ってる。
服も化粧もダイエットも、俺と居ると全部頑張らなきゃいけないって」
「………!」
「太ったら悲鳴上げて色々やってるけど……でも、そうじゃねぇんだよな」
思い出しながら笑みを浮かべる姫宮さん。
照明が反射して、その横顔が美しく光った。
「本人が気付きもしない、なんでもねぇことが
俺にとってはシアワセだって感じるんだよ」
「………っ」
「……今過ごしている毎日が、過去の自分が願っていた未来そのものだから」
“ ヒメが髪色を変える時は私も同じ色にするって、付き合った時から決めてるんだ ”
そう言って照れながら笑う香月さんを思い出して、なんだか泣けてきてしまう。
きっと私の知らない色んなことを乗り越えて……2人は夫婦になったんだ。
私も……いつか葵に
そんな風に感じてもらえる時が来るのかな……