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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
「瀬名も、きっと俺と同じ」
「………!」
「な~んか似てるんだよな、あいつ」
突然葵の名を出した姫宮さんが、そう言って楽しそうに笑った。
……び、びっくりした。
私口に出して無いよね?
心の声が聞こえてしまったのかと思うくらい、彼の言葉にドキンと心臓が跳ねる。
……葵も、同じ……
「姫宮さん、それって…」
「お前、さっき瀬名をかっこいいって言ったけど
あいつ今相当疲れてるぜ」
「……えっ?」
「本当に性格悪いっつーのはな。
ズケズケ自分勝手な発言を繰り返す、あの生意気な令嬢のことを言うんだよ」
「~~か、会話聞こえてたんですか?」
「いや、見てりゃ分かる」
み、見ただけで分かるってどんだけなの……
呆気に取られる私の横で、姫宮さんはスッと立ち上がると
テーブルの上から私のグラスを手に取った。
「これ以上飲むな。水持って来てやるから」
「………」
「……帰ったら、お前があいつを癒してやれよ」
自分のジャケットとグラスも一緒に持って、彼は私を見て微笑んだ。
「 “ 恋愛において、遅すぎるなんてこと
この世にはひとつもない ” 」
「………!」
「俺が17歳の時に、優香に言われた呪文。
お前にやるよ」
「………」
「効果があるかどうかは、これからの早坂次第だけどな」