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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
姫宮さんが貴賓室を出ていって、暫くしてから
最後の大きな花火が夜空に浮かんで、華々しく散っていった。
「………」
……遅すぎることは、ない。
優香さんが告げたというその言葉は、今の私の心にはとても優しく響き渡る。
……葵は、いつから私を好きになってくれたのかな。
学生の頃、私も含めて女そのものに無関心というか
どんな美人に慕われても冷酷なまでに放置だったから
大人になってから、気に掛けてくれるようになったのかな。
……でも、それは全て “ 過去 ” の話だ。
今、この瞬間にも
全ての時間は過去になっていく。
自らの愚かな言動によって
幸せが一瞬にして壊れてしまう時だってある。
「……姫宮さん、どうしよう……」
再び後ろから扉の開く音がして
お水を持ってきてくれたであろう彼の足音を聞きながら、私は思わずそう呟いた。
「やっぱり今夜のことで私、葵に愛想尽かされたかもしれない」
「………!」
「見た瞬間に分かったんです。
葵、完全に仕事モードだったから……」
「………」
「恋人である立場なら、尚更
私はここに来てはいけなかった」