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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
後悔の念が後から後から押し寄せる。
乗り込んでやろうなんて……血迷った自分が無性に恥ずかしい。
仕事を疎かにして、私情で姫宮さんを巻き込んで
貴重な休日に優香さんと香月さんにまで迷惑をかけて……
……何よりも
帰って葵と顔を合わせることが……怖くて堪らない。
「葵の役には立てないから、せめて邪魔だけはしたくないのに。
……信用を取り戻せなかったら、どうしよう……」
すぐ後ろで止まった足音。
仕事の相棒に吐露する自分が情けなくて、ぎゅっと目を瞑った。
「葵に嫌われたら、私生きていけな…」
「─── 俺の想いはこれからも変わらない」
「………」
……えっ……?
「嫌いになる理由がない」
……一瞬、何が起きたのか分からなくて
頭の中が真っ白になったまま、閉じていた瞳をゆっくりと開いていく。
空耳だと思ったその声は、明らかに姫宮さんでは無くて……
「付き合ってから色んな新しい発見があって
飽きねぇし、俺は楽しいよ」
「………!!」
振り返ったその先で
グラスを持った葵が、私を見てふっと微笑んだ。
「ちゃんと言ったはずだけど?」
「………っ」
「……忘れんなよ、蘭」