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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
「……あ、おい……」
やっと声が出たけど、まだ頭の中はパニックで
放心状態のまま、そのグラスを受け取ることだけで精一杯。
「あ、あの……私…」
「ん?」
「………っ」
私を見つめる葵の瞳が、余りにも優しくて
それだけで熱い何かが込み上げてくる。
どうしよう、本当に泣きそう。
「ふ、船に乗る前……ゲートのところで…」
「あぁ、速攻気付いた」
「~~! な、なんで!?」
「1ヶ月前倒しで買った、この “ 誕生日プレゼント ” で」
驚く私の髪を耳の後ろにかけて、葵の冷たい指がチェーンピアスを弾いた。
……ていうか……
えっ!?
こ、これで気付いたって……
「あんなに離れてたのに、見えたの!?」
「嘘」
「………!」
「お前の気配を察知したんだよ。
紙一重で殺気に近い、妙な威圧感を」
「~~~!」
「つーか普段もそうだけど
蘭が近くに居る時はいつも、何かを感じる」
ニッと笑う葵を見て、再び声を失う。
け、気配って……
カンの良さと洞察力に加えて、そんな目に見えないチカラまで持ってるの!?