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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
「これ、カツラ?」
「……そう」
「すげー自然だな」
「……うん…っ」
胸の下まで揺れるウェーブに触れた葵が、私を見て苦笑する。
「なんだよ、蘭」
「………っ」
「なに泣きそうになってんの。
どうした」
葵の問いかけにも、目を瞑って首を振る事しか出来ない。
……愛しい、愛おしい。
ただこうして来てくれただけで、こんなにも心が満たされる。
張り詰めていた緊張の糸が、一気に解けた気がする。
今年30になる、いい大人なのに
葵の前では小さな子供みたいになってしまう。
「……う…っ」
「はは、変な奴」
声に出して笑った葵が、片手でさらに強く私を抱き寄せた。
このまま顔を埋めて、ずっとくっついていたくなるけど
“ あいつ今相当疲れてるぜ ”
「……葵」
葵から体を離して、その整った顔をそっと見上げる。
……姫宮さんの言う通りだ。
「葵、大丈夫?」
「………!」
「明日は休めるよね?
今夜はゆっくり寝ようね?」
「………」
「マッサージでも添い寝でも
葵が少しでも癒されることは、何でもするよ」