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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
……葵が、こんな風に連続して笑うのは珍しい。
それに、優香さんと香月さんの姿が目に浮かんできて……
ダメだ、また胸が締め付けられる。
ドキドキがずっと止まらない。
「姫宮の嫁が相当ガッカリしてたぜ。
こんなに早くミッションが終了するとは思わなかったって」
「………!」
「漫才しながら突然柱から飛び出して来やがって。
こっちの身にもなれよ。
俺は一体どんなリアクションを取れば良かったわけ」
「~~! あ、あれは姫宮さんが…」
「あの時笑い堪えてたから腹痛くて……
あーやべー、マジでツボる」
「………」
“ なんだよワンナイトLoveクルーズって。
バカじゃねぇの ”
目の前で笑う葵の姿が、5日前の姫宮さんの姿に重なる。
……なんか、私
普段氷点下の男を爆笑させること多くない……?
彼らと同じクールでありたいのに
どうしてこうも理想とかき離れた方向へいってしまうのだろう。
「……ねぇ、葵」
海に飛び込んで消えたい気分だけど
灰皿に煙草を潰す彼に向けて、恐る恐る切り出した。
「……怒ってないの?」
「怒る?」
「……その、私が尾行してきたこと」
「なんで俺が怒るんだよ」
「だって……普通だったらありえないじゃない」
「はは、ほんとありえねぇな」